岸辺露伴は動かない懺悔室レビュー｜Prime Videoで観るべきサスペンス作品

誰にも言えない好奇心や、ちょっとした「覗き見」の衝動──そんな小さな好奇心が、不意に自分の世界を崩してしまうことはありませんか？通勤電車でのスマホのぞき見や、夜中にふと開いたSNSの深い闇。日常の“軽い興味”が予想外の不気味さに変わる瞬間、私たちは案外簡単に物語に没入してしまいます。

作品紹介：『岸辺露伴は動かない懺悔室』 — 配信：Amazonプライムビデオ

原作は荒木飛呂彦の人気短編シリーズ。今作はサスペンス色の強い一編を映像化したもので、配信はAmazonプライムビデオ。監督は渡辺一貴、主演に高橋一生、飯豊まりえという顔ぶれで、原作の不穏な空気感を映像に落とし込んでいます。

あらすじ（簡潔）

漫画家・岸辺露伴が取材で訪れたヴェネツィアの教会。そこで仮面をつけた男の「懺悔」を耳にする。男は誤って浮浪者を殺してしまい、「幸せの絶頂に『絶望』を味わわせる」といった奇妙な呪いを告白する。露伴は自身の能力で相手を“本にする”ことで記憶や体験を読み取ろうとするが、その行為がやがて彼自身にも予期せぬ呪いを降りかからせる──。

魅力ポイント 🎯

演出：渡辺一貴監督が作り出す陰影とテンポ。静かな場面の恐怖を見事に映像化。
高橋一生の存在感：露伴の好奇心と冷静さ、そして内面のざわめきを繊細に表現。少ない台詞で引き込む力がある。
飯豊まりえの配役：物語に薄く漂う不安定さを支える重要な存在感。
原作リスペクト：漫画的な奇妙さを残しながら、実写ならではの生々しさを併せ持つバランス感覚。
映像美と音響：ヴェネツィアの湿った空気感、教会の冷たさがスクリーンから伝わってくる。

書き手の感想（熱量込めて）

観終わったあと、しばらく身体のどこかに違和感が残る――そんな作品でした。露伴の“本にする”という能力に対する倫理的な揺らぎ、そして他者の秘密を覗き見ることの罪深さがじわじわと胸に迫ります。高橋一生の一挙手一投足が感情の波を丁寧に伝え、ラストに向かって積み重なる不穏さは、サスペンス好きなら思わず声を上げたくなる衝撃です。派手なアクションはないけれど、静かな恐怖が長く尾を引く——こういう“余韻の怖さ”を求める人にはたまらない一作です。